実際にモノをさわらせるトヨタの技術者教育のすごみ

 エンジン音から故障部品を見抜け、トヨタ入社1年目の課題を読んで、トヨタの技術者教育のすごみを感じた。エンジンが故障している車両と、正常な車両を用意して、新人技術者に、その故障箇所を特定させるという研修をやっているのである。実際にモノをさわり、観察し、原理原則を考え、自分でやってみる。技術者にとって、最も重要な部分である。ここまでの技術者教育をやっている会社はそれほど多くないと思う。新人時代に、こういう教育を受けることが、どれだけ技術者にとって重要かを考えると、もっともっと、新人教育のやり方を工夫すべきだと思うとともに、どんな技術者に育ってほしいかの現場の考えも重要なのだろうと痛感した。

営業と技術開発との力関係

 技術部門は安請け合いするな、営業からの無理筋の依頼は断るべしは、同感する人が多いだろう。社内で、営業の声が一番大きいという会社は多いだろう。技術開発部門は、いつも営業に押し切られ、何か後追いの仕事をする。一方で、技術開発部門として、新しい技術を開発しても、こんなもの、どうやって売るんだといって、否定される。
 きっちりと対等の関係を結ぶべきだろう。

商談時のエンジニアが優秀でも・・・

 システム開発のソフトハウスが廃業、今後の発注先は大手ITが安心なのかという記事の中で、「提案時に優秀なエンジニアが対応してくれると思っていても、開発がスタートするとその人は体制図に存在しないことがあります。」という文章があり、昔の経験を思い出した。まさに、最初の商談時に出てきたエンジニアが優秀で、このエンジニアに頼めるなら、と思っていたら、実際のプロジェクトマネージャーは、たいしたことがなく、あてが外れたという経験をしたのだ。まあ、商談時のエンジニアがそのまま担当してくれると思い込んだ私が未熟だったのだが。

MSJの開発中止:コンコルドの二の舞は避けれられた・・・

 1兆円規模投じた国産ジェット旅客機「MSJ」開発実らずというニュースは、なかなか衝撃である。まあ、あれだけ遅延したプロジェクトである。今さらうまくいかないだろう。それにしても1兆円とはねえ。サンクコストとしては、恐ろしい金額である。とはいえ、サンクコストとして有名なコンコルドの二の舞にならずにすんでよかったというべきなのだろう。

CとC++は違うよなあ、確かに

 C/C++からの移行を促すNSAのガイダンス、C++生みの親Stroustrup氏が見解表明という記事の中で、「CとC++を同類視してC/C++と表現している」「多くの人は『C/C++』という架空の言語の話題を持ち出し、C言語側の弱点にばかりスポットを当てて話を進める。」というStroustrup氏の発言があった。確かに、CとC++を同じようにくくるのはよくない。C++がCから派生した言語であることは確かだろうが、今や全く違う言語体系になっている。

開発テーマを点数評価するのは無理だ

 「ゾンビテーマ」を温存しようとしていないかは、前職の研究所時代に経験した。研究所というのは、テーマの評価が難しい。技術で儲かるわけではないので、必ず、その技術が生み出すであろう商品やサーボスを語る必要があるからだ。でも実際には難しい。
 ただ、経営層は、その難しいことを、点数評価したがる。私の経験でも、点数で評価しようという試みが何ともなされ、ことごとく、時間が経過すると試み自体が消滅した。

メーカーがソフトウエアで差別化できるか?

 CES 2023の展示から見えた韓国サムスンとLGの変化、ハードからソフトへシフトによると、韓国メーカーもソフトへシフトしてきているという。まあ、ハードウエアで特徴が出せなければソフトにシフトするしかない。ただ、メーカーの場合、ソフトの競争は難しい。スマホアプリとかだと、お試し無料で、継続して使うなら有料で、という事が可能だが、ハードウエア上に搭載されたソフトはそうはいかない。ハードウエアを買いたいと思わせるソフトウエアが必要なのだが、どうなんだろう・・・。結構、難しいと思う。

休日の急な呼び出し:呼び出した本人は反省がない・・・

 昨日、休日で昼食を食べようと思っていたら、現場で休日対応中の担当者から電話がかかってきた。ちょっと問題が発生したので、来て欲しいという。
 正直な話、こういう対応が一番いやである。そもそも、いきなりである。急に出て行く必要がある。本人は、もともとの予定だったからいいが、こちらは予定外だ。そもそも、わざわざ休日にやらなくてもいい仕事なのに、気があせって休日にやってしまって、問題を起こすという、よくありがちな話である。実力のない担当者ほどやりがちで、本人は休日まで頑張っているんだからということで、他の人間を巻き込んだ反省はない。困ったものだ。

Alexa部門のリストラ:継続的なソフトウエア開発の難しさ

 アマゾン「Alexa」部門で大規模リストラ、音声アシスタントは生き残れるかは、アマゾンのリストラだけではなく、そこから音声アシスタントという製品カテゴリに関して考察された記事だ。たぶん、あの価格では儲けがないのだろう。そもそも、ハードウエアとして売りながら、ソフトウエアを更新していく製品というのは、本当に難しい。
 音声アシスタントというユーザーとの接点となる製品を持つことで、他の事業とのシナジー効果を狙い、ハードウエア単体の利益はなくてもいいという話になりがちだ。だが、結局は、ソフトウエアの継続的な開発費用は出てこなくなり、製品としては終わりになってしまう。スマホのように爆発的な数がないと、ソフトウエア開発費を償却できないというのが現実なんだろうなあ。