基本電子部品大事典:電子部品の特徴が網羅的に解説されている

 転職して、管理職でなくなったので、久しぶりに、自ら製品設計をしている。電子回路は、理論とともに、電子部品の知識が重要だ。理想的なRやCは存在しないので、用途に合わせていろいろな電子部品が存在する。
 これらの使い方は、現場では、OJTによって伝承されてきた。たとえば、部品は周囲温度によってディレーティングを考慮しなければいけないとか、電解コンデンサは低温では電解液が凍結するので役に立たないとか。こうした雑多な知識が網羅されたのが、基本電子部品大事典 (トラ技ジュニア教科書)だ。久しぶりの現場復帰で、この本を読んでみて思ったのは、自分が初心者だったときに、この本に出会っていれば、あんな失敗とかこんな失敗とかをせずに済んだのになあ、ということである。
 体系的ではない。トランジスタ技術の記事を再編集したものだからだ。でも、もともと、部品の知識というものは、理論と違って、雑多な知識の集積である。
 トラ技Jr.教科書というシリーズなので、ベテラン技術者は手に取らないかもしれないが、たぶん、自分の不得意な分野では、参考になることも多いと思う。少なくとも、私は、この本を読みながら、過去の自分の設計ミスを思い出し、先輩からの口伝を懐かしく思い、そして、新たな知識も学ぶことができた。初心者からベテランまで、電子回路に携わる技術者に勧めたい。