スパイたちの遺産:読み終えるのが惜しい作品

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 名作「寒い国から帰ってきたスパイ」の続編という紹介だが、実際には、同じストーリーを違う視点で描かれた作品というべきだろう。寒い国から帰ってきたスパイは、当事者の視点から描かれた作品である。本書は、その作戦を仕掛けた側から描かれた作品だ。
 ル・カレのスパイ小説でおなじみのピーター・ギラムの引退後に、寒い国から帰ってきたスパイでの作戦が究明されることになる。既に世代交代してしまい当時の状況すらわからない若い世代にピーター・ギラムが尋問される。尋問の会話、記録文書、ピーター・ギラムの回想シーンという地味な内容なのだが、なぜか緊迫感があるのだ。さすがにル・カレだ。1931年生まれということだから、この作品が発表されたのは86歳ということになる。本書は、ル・カレからの遺産かもしれない。