科学・技術の最近の記事

 既に始まっているデータ社会について、その最先端で仕事をしてきたデータ・サイエンティストが著者。かなり、自由に、やってきたこと、今後来るであろうこと、その利点、欠点について書いた本である。
 最初の、amazonでできることに書かれた部分は、本当にびっくりである。ただ、だんだんとあきてくる。たぶん、著者の言う新しいプライバシーの考え方に共鳴できない部分が多いからだろう。若い世代なら共鳴できる人も多いと思う。考え方に共鳴するにせよ、しないにせよ、今後の世界を考える良い本だ。

 題名だけ見ると、みんな地学を勉強しましょう、こんなに役に立ちますよ、というような本に思える。随所にそういうことが書いてはあるが、大半は、こんなことが解明されてきているという、地学による地球の姿を丁寧に解説している。
 地下深部の岩石の融解条件という、深さと温度によって、岩石が融解するかどうかが決まるというグラフを用いてマグマの噴出のメカニズムを説明する部分など、めから鱗である。
 一方で、地震に偏った我々の災害への関心を、実は火山の噴火の方が被害は大きい、と警鐘を鳴らす部分もある。特に中国と朝鮮の間にある白頭山の話は、ちょっと怖い。

 こういう本は、やはり山根一眞でなければ書けない。基礎研究というわかりにくい分野を、うまく解説している。将来、応用が可能な分野については、その応用の先進性と広がりについて。そうでない分野は、その知の広がりについて。そして、スパコン「京」、スプリングエイトなどの最先端の説簿がどのように研究のブレークスルーに役立っているのか、バイオリソースセンターのような一見地味な(そして手間とお金のかかる)仕事が研究の基礎を確立しているのか。
 発明・発見だけがイノベーションではない。ビジネス観点で見ればそうであろう。でも、発明・発見こそがイノベーションの王道であり、それを支えているのが基礎研究である。

 APPLE、MZ-80、PC-8001、MSXなど有名どころのPCだけでなく、パソピアとかFM-8とか、今ではあまり語られることのないPCも含めて、昔のPCファンなら一度は見たことがあるであろうPCを多く紹介している。写真を見るだけで懐かしい。PC88系のフロッピードライブは2基横に並んでいたのに、PC98系は縦に並んでいたとか、この写真を見て、久しぶりに思い出した。PCだけでなく周辺機器も紹介されているのが、素晴らしい。解説は、客観的といえば客観的だが、少し淡泊。

 著者は、古代文明についての専門家ではない。土木・建築の専門家でもない。でも、技術に愛着のある人である。そんな著者が、ピラミッド、古代ギリシャ、古代ローマ、メソアメリカ・アンデス文明を石の文明という観点で、古代技術の素晴らしさを解説した本だ。
 専門家の書いた本ではないので、その語る内容の正しさ、というのを云々するのは野暮というものであろう。石の文明について語るにあたって、石材職人に話を聞きに行くという現場重視の技術者らしい行動によって、一般の概説書にはない面白さが追加されている。やっぱり、実物を見たくなってきた。

 副題は「世界を変えた≪標準革命≫」。ネジは、直径と長ささえあえば、メーカーを問わず使うことができる。この、当たり前のことができるためには、標準というものが必要である。たとえば、ネジについては、ISOで標準が決まっている。
 手工業の時代には、モノを構成する部品は、モノごとに違っていた。これを、たとえばネジという部品に互換性を持たせるというのは、そもそも発想から変換していく必要がある。まさに革命である。標準という考え方がどのように生まれてきたのが。そして、様々な反対にあいながら、紆余曲折しながらも、徐々に鵜世の中に普及していく過程を、具体的な事例で丁寧に追った力作である。

 クラウドを中心としたシリコンバレー発の技術やビジネスの動向がよくまとまっている。間にエッセイとしてはさまれているシリコンバレー事情も面白い。特に、日本企業のシリコンバレー駐在の事情などは、なるほどと思える。
 ただ、題名の「革命」については、書かれていない。何が革命なのかは、よくわからないまま本は終わってしまう。この部分は、少し物足りない。

 全8章の中で、記憶のしくみが5章、鍛え方は2章、脳科学に関するエッセイ的な結論が1章という構成である。その中で、しくみに関する記述が、本当にわかりやすい。ミクロなしくみと、それを用いて脳がどのように動くのかというマクロな面をわかりやすく解説してくれている。

 システム思考が重要だ。その主張には100%賛成する。今や、個々のブレークスルーは、あまり期待できない。今ある要素を用いて、いかに効率的に運用するか、ということが、今後重要になる。
 その科学思考を紹介する本かと思ったら、そうではなく、システムとは何かという例を紹介している本だった。ちょっと、題名と内容が期待外れである。例については、読み物としては、面白い。

 家電ごとに、その技術を紹介。ハイテク機器に比べ、技術がクローズアップされることのない家電機器だが、実はいかにすごい技術が駆使されているかがよくわかる。特に炊飯器にかける日本の技術者の情熱は素晴らしい。
 パナソニックに取材して作ったということで、内容がパナソニックびいきになってしまっているのが少し残念。まあ、総合家電メーカーは、日本にほとんど残っていないのでしかたないが。